マキャベリが著した「君主論」はビジネスの世界でリーダーシップを発揮するためのエッセンスが詰まっています。ただ、かなりムズカシイ。
本書はこのムズカシイ本を分かりやすく解説するとともに、君主論のエッセンスを凝縮した内容になっています。
成毛さんは35歳の若さで社長に就任した際に、マキャベリ流でマイクロソフトを統括したそうです。
ですので、本書は管理職に就いたばかりのビジネスマンにオススメです。
本書では、マキャベリが残した数々の名言を引用して、ビジネスリーダーに求められる要素を解説しています。この解説は著者のマイクロソフト時代の経験を交えて述べられているため、とてもリアルに君主論を実践した効果を知ることができます。
一般的に君主論は、鉄の心臓をもったリーダーだけが実践できる方法論と思われがちです。しかしながら、本書を読み進むうちに、誰でも君主論の実践は可能だと思えてくるところが、この本のオモシロイところです。
人はおおいなる侮辱には報復しない。
著者はマイクロソフトの社長に就任した際に元上司のクビにしたそうです。ただし、何も抵抗もなく穏便に片付いたそうです。
つまり、人間というのはネチネチと侮辱をうけると反撃にでるが、徹底的に危害を加えると復讐にでることはないということです。
部下の管理法にも使えそうな一節です。
部下に命令を守らせて、かつ畏敬されること。
「畏敬」とは、恐れ敬うという意味ですが、このフレーズの意図するところは、部下から恐れられると同時に敬われよということのようです。
著者はマイクロソフト時代、部下に「殿」と呼ばせていたそうですが、同じく殿と呼ばれているビートたけしを引き合いに出し、軍団や共演者たちから恐れられるのと同時に、映画監督などの才能で敬われているとして、ビートたけしこそが君主論の体言者であると言っています。
巷には、リーダー論やマネジメントを説いた本があふれています。
本書は、それらの本とは一線を画し、人当たりのいいことは書いてありません。
本書に書いてあることは、時代遅れのようですが、ただ、これが組織と統括する鉄則なのだと思わせる名言にあふれた一冊となっています。
ぜひ、ご一読されてはいかがでしょうか。